2018-02-25 Sun
鳥の声に起こされて目が覚めた。のか目が覚めたら鳥の声が聞こえてきたのか。
どちらでも良いが、すこぶる心地よい目覚めだ。
窓を開けると朝の澄んだ匂いが立ち込めている。
東京の朝ならば、こうはいかない。
チェンマイでは当たり前な、贅沢な空気をいただく。
スウィーンスイスイ。
ははは、今日も笑顔で行こう。
や、地球が地球でよかったね、もう安心だ、ぼかアそんな気分さ。
すばらしい空気で満たされた心だが、空気だけでは不満足な我が胃袋に急かされて、昨晩も行ったBlue Diamondへ向かう。

「心地よい店内。店内?鯉がいます。取って食べてはいけません。」
さっそくフルーツとTOHUバーガーを注文。

「何か言いたいがなんとも言葉が出てこない。俺から言わせれば極めてアンニュイなイカしたやつだね。」
うまし。
モーマンタイ。
我が胃袋を沈黙の彼方に追いやったのち、チェンマイで由緒あるお寺の一つであるワット・プラシンへ向かう。
通りでソンテオを捕まえて走ること約10分で到着。
チェンマイ中心部には約1.5km四方の正方形でできた掘と城壁がある。
その中の囲まれた地域が旧市街地であり、大きなホテルやレストラン・バーなどが立地している塀の外側が新市街地である。
旧市街地にはお寺や古い住宅が多くみられ、それらを縫うようにして狭い路地が入り組んでいる。
地元の老人などはこの四角の中で大抵の用事を済ましているのであろうか。
昨日会ったロングステイ中の日本人女性の方もチャリがあれば大抵の事は済むと行っていた。
そんな街のサイズ感がとても気に入った。
日本のようないわゆる先進国は、インターネットシステムと配送ネットワークを駆使して経済的にグローバル化の一途を辿っていて、世界中のありとあらゆるものが1クリックで手に入る。
グローバル化は神のお告げだったっけ、くらいの勢いで政府も企業もこぞってグローバル化をあがめているように見える。
チェンマイの人たちがamazonみたいなのをどれくらい使っているかわからないけれども、日本ほどではないにしろ、ここだって例外ではないだろう。
それでも、徒歩やチャリで行ける範囲で成り立つ、自分の五感の働く範囲で得られるものに満足できる生活というのは、慎ましやかで素敵に思える。
何時迄もそんな場所や人々であってほしいと願うのは、それらの恩恵をモロに受けている小僧が思うのは傲慢であろうか。

「グローバルだろうがローカルだろうが木はどこの森でも街でも自由だ。」
さて、寺院の中に入るとちょうど朝のお勤めの時間であった。
奥にはタイらしいキンキンピカピカの仏像が鎮座し、左側には7〜8人のお坊さんが座っておられる。
仏像に近いほど位の高い人なのであろうか。
見た目では仏像に一番近い人が年かさで、だんだんと入口側に行くにつれて若くなっていくようだ。
しかし、お坊さんにも出世街道をゆく人と万年平社員的な人とがやっぱり居るのかしらん。
そしたら我輩は万年平坊主を積極的に応援したい。
構内には参拝に来る人たちのために椅子が20席ほど設けられており、椅子の下には何匹かの犬が寝そべっている。
お経の周波数がとても気持ち良さそうだ。
学校の研修か修学旅行と思われるジャージ姿の女学生がどっと入ってきたので、外へ出た。

「やや混雑した寺院。グラサンのおじさんは仏像が眩しいのであろうか。」
寺院の近くにタイ北部の山岳地域に多く住んでいるアカ族の村で栽培された珈琲を提供する「アカアマコーヒー」というカフェがあることを知り、立ち寄ってみた。
このカフェは、アカ族出身のオーナーが大学卒業後に村の活性化に一石を投じたいとの思いから始めたのだそうだ。
過ごしやすい乾季とはいえ、日が昇ってジリジリと暑くなり始めていたので、アイスコーヒーを注文した。
ここではアイスコーヒーに「ブラックジュース」というネーミングがついている。
かっこういい!
バンコクのワット・ポー近くにあったELEFIN CAFEでもそうだったが、グラスと瓶に入った珈琲がそれぞれ出てきて、各自好きな分注いで飲むというのが、タイの流行りみたいだ。

「ストローも使い回しができる金属でできたもの。さりげないオーナーの心意気が見えます。」
味はチェリーだろうか、やまももだろうか、とにかくフルーツのような甘酸っぱさとごく控えめな苦味であった。
初めて飲んだ味で、とても美味しく感動した。
そんなこんなでチェックアウト時間も迫っている。
今日はシャンバラまつりの会場へ向かわなくてわ!!
ソンテオを5バーツ値切り、ゲストハウスへ急いで戻る。
また値切ってしまった。
5バーツ=3.4円×5
いわゆる先進国からの旅人はこの体たらくである。

「シートの色はファンシーなエメラルドぐりーんで統一、運転手は40〜50代男性、行くわよ。」
つづく