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■プロフィール

MAMEFUTATSU

Author:MAMEFUTATSU
TORU(Vocal/Acoustic Guitar)とARISA(Piano,Keyboard/Chorus)による音楽グループ。

2015年7月、結成。
2016年9月、初音源集「SOUNDSCAPE」を発表。
2019年2月、2st「I Will Never Die」を発表。
2022年11月 3rd「Country driver」を発表。
全作品はitunes等各配信サイトより配信中。

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タイ紀行文(三日目)
本日は、アユタヤへ向かう。
起床し、閑散とした繁華街を通り抜け、いつものレストランでグリーンカレーヌードルを食らう。
から〜いんっ!
辛くて眠気覚ましにはもってこいである。

それからタクシーで、タイ全土の旅の発着点であるファランポーン駅へ行く。
アユタヤへは、ここから列車に乗って北へ80kmほど、約1時間半くらいのプチトリップだ。
駅前でタクシーから降りると、色んな人が声をかけてくる。
どこへ行くのか?どこから来たのか?
昨日のトゥクトゥクの件で、みんな怪しい輩に見えるわい。
まあ半分くらいは本当にそうだと思うけれども。
愚生は遥かなる地平線を仰ぎ見る眼差しを表情に携え、「そなた達の存在は、われは一切知覚しておりませぬ」オーラを出しつつ、足を早め、そそくさと券売所で切符を購入。
券売所のおばはんが、当然のごとく20分ばかり遅れると申すので、駅構内のカフェでコーヒーを飲んだり、暑いのにホットコーヒーを頼んでしまった事を後悔したりしながら、列車を待つ。
時間となり、発着場へ行くと予定通り遅れてきた列車が定時に構内へ滑り込んできた。

IMG_3679.jpg
「旅情湧くプラットフォーム」

早速乗り込んで指定の座席番号を探し、着席。
中々心地よいではないか、想像していたよりも小綺麗だ。
気分よく車窓の眺めなどを楽しみながら、これから始まる快適な旅に心を躍らせた。
走り始めて10分ほどすると、車掌が巡回に来た。
切符の確認であろうと切符を差し出すと、「YOUの座席、ここじゃないアルヨ」と申すではないか。
ここは一等車だから労働者階級の末端に属するのぬしらは、隣の汚い二等車両へ移りなさいという事である。
愚生の購入した切符は二等車両の切符であったのだ。ぬを〜ん。

仕方なく、隣の車両へ移動し、座席を探す。
すると愚生の着席するべき座席にはおっさんが寝そべっている、それもシートをもの凄く倒しながら。
なんだかおっさんを起こして席を交換してもらうのも面倒くさくなったので、後ろの空いている座席に座る。
先ほどの席より当然ながらボロい。
椅子のリクライニングシートが勝手に倒れ、寄りかかる事が出来ない。
さらに前のシートに付帯している簡易テーブルに、先ほど飲みきれなかったコーヒーや提供された水などを置いたのだが、おっさんが寝返りを打つたびに椅子全体がぐらんぐらんと動き、その度にコーヒーカップ等を持ち上げなければならないという緊張の糸を途切れさせる事の出来ないデンジャラスな状況だ。
「世界の車窓から」みたいな優雅なプチトリップとはほど遠いではないか、むしろ何がプチトリップだ!プチとは何だ!プチとは!大体おっさんの席は我が輩の席である!
などと沸き立つ苛立と煩悶の心の揺さぶらせているうちに、列車はアユタヤへ到着。
下車するときに、おっさんは我々に向かって「ウェルカムトゥータイランド」みたいなことを発した。
何だか拍子抜けして可笑しくなってしまった。

IMG_1648.jpg
「おっさんの状況を見極めながらテーブルの上のものを素早く移動させる」

アユタヤ駅から出ると、観光の客引きと思われるおっちゃんがすぐに声をかけてきた。
3時間で色んな遺跡をトゥクトゥクで回ってあげるよ、との事。
トゥクトゥクと聞いて警戒心MAXとなったが、値段交渉をハッキリしたのち、800バーツ(約2400円)で交渉成立。
もっとディスカウントできたと思うのだが、日本円に換算すれば高くはないであろうと思い、手を打った。
経済状況の異なる国へ来ると、日本円では僅かな値段であるのに、異様に執着している自分が居ることにふと気づいたりする。
それは、ボられるお金が惜しいのではなくて、騙されているという感覚が悔しいのだと思う。
彼らにしてみれば、あんたたちの国ではそれくらい大した額じゃないし、この国ではたかが100バーツでも大助かりだ、それくらい気前よく出しなさいよ、それに旅行している事自体、贅沢でお金を持っている証拠じゃないかい?ということなのだろうか。
国と国との経済格差を解消するフェアトレードという貿易の仕組みがあるけれど、こういった現地で個人が何かを交渉するという事になった時に、適正な価格というものはどういう事なのだろう。
騙されまいとして、頑に現地の人々と同じ値段で乗車しようとする事は正しい事なのかなと思ったりした。
現地価格とボッタクリ価格、そのバランスを見極めて金銭を扱うことが出来ると、より旅上手になったりするんじゃないだろうか。

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「我がトゥクトゥク号」

そんなこんなで、おっちゃんのトゥクトゥクに乗り出発。
主要な遺跡を回ってもらう。
アユタヤは以前一度来た事があるが、古代から時を止めたままである。
1300年代〜1700年代までの間、ビルマ軍に滅ぼされるまで約400年間王朝として栄えた。
ビルマ軍によって朝廷を破壊され、首だけになった仏像が静かに心に諸行無常を語りかけてくるようだ。

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「この仏像と一緒に写真を撮るときは仏像より人間を上にして撮影してはならない、という注意板がある。」

遺跡めぐりの途中、ぞうさんに遭遇。
観光用にお金を払って象に乗せてくれるところがあるのだ。
観光用といえども、専用のルートなどは整備されておらず、車の往来する一般道を象が突っ切って歩いてゆく。
日本であれば、もちろんトップニュースの大問題で「平穏な郊外都市の昼下がりに暴走した象の群れが車両を妨害し大混乱!!」などと騒ぎ立てるに違いない。
愚生は、この国のおおらかさは好きだ。
経済に有益となる物流を円滑化させるためでしかない日本の道路と、人間の利益の為の活動とは無関係な象や牛が行き交っても「問題がない」道路。
どっちが自然だろうか、いずれにしろ、道路は自然の上に、土や岩や海や川の上に覆い被せるにして作られている。
近代文明で人間がアスファルトの下に隠してしまったものは何か、そしてそれを誰が再び引き剥がし、探り当てるのだろう。
それはやっぱり人間にしかできない。

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「経済至上主義がもたらした人類と自然界との間における文明的摩擦に関して考察しているのはこの人ではありません_その1」

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「経済至上主義がもたらした人類と自然界との間における文明的摩擦に関して考察しているのはこの人ではありません_その2」

そんな事を思いながら、遺跡巡りを終え、アユタヤ駅へ戻ってくる。
途中で銀行や行きたいお店など立ち寄ってくれた終止にこやかなおっちゃんに感謝のチップを渡し、列車に乗る。
おっちゃんどうもありがとう。
ちょうど日没の時間、車窓から燃え立つ赤紫色の空を見た。
こんな空はずっと忘れないだろう。

IMG_1692.jpg
「薄暮の空」

テーマ:タイ旅行 - ジャンル:旅行

旅なんです | 13:37:17 | コメント(0)
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