FC2ブログ
 
■プロフィール

MAMEFUTATSU

Author:MAMEFUTATSU
TORU(Vocal/Acoustic Guitar)とARISA(Piano,Keyboard/Chorus)による音楽グループ。

2015年7月、結成。
2016年9月、初音源集「SOUNDSCAPE」を発表。
2019年2月、2st「I Will Never Die」を発表。
2022年11月 3rd「Country driver」を発表。
全作品はitunes等各配信サイトより配信中。

■メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

■カテゴリ
■最新記事
■最新コメント
■月別アーカイブ
■フリーエリア

■検索フォーム

■RSSリンクの表示
■リンク
■ブロとも申請フォーム
ホイアン紀行文(6日目)
起床。
少しずつ涼しくなってきた。
 
ホテル近くの食堂を覗いていると、片言の日本語で店員のおばちゃんに声を掛けられた。
「ワタシハスコシダケニホンゴガデキマスヨ。ベジタリアンヌードルガアリマスヨ。」
その独特の調子に誘われるがまま店内に入り、フォーを注文。
パクチー&バジルが沢山乗って出てきた。
朝からでも、スッと食べられる。
店を出る時、おばちゃんに「ドウモアリガトウゴザイマシタ。」と声をかけられ、お辞儀をされる。
日本のことをとても親しく思っているのが感じられた。
もしかしたら顔も日本人に近いので、血が入っているのかな。
ホイアンはベトナム戦争で南軍側(アメリカ軍側)の境界に入っていたから、アメリカを支援した日本に対してそういう意味でも親和的なのだろうか。
北に行くとまた違うのかもしれないが、以前ハノイに行った際はそういう日本人だから何だという空気は特段感じられなかったが気付かなかっただけかもしれない。
IMG_8534.jpg
「親日的食堂」 
ホテルに戻り一息ついた後、この間行ったアンバンビーチへまた行こうという事で、タクシーを拾い向かった。
 
ビーチに着くと、今日もほどほどに人が居る。
この間のドリンクオーダーを取りに来たおじさんが覚えていてくれて「帰ってきたな、こん畜生、愛してる」という感じで挨拶してくれた。
前回座った長椅子に陣取り、海に入りたくてしょうがないアラサーのバンドメンバーが着替えもそこそこに、砂浜を海面目掛けて走っていくのを寝そべりながら見送る。
IMG_8535.jpg
「写真で見ると曇りがちで寒々しいが、もちろん暑い」
隣にはオーストラリアから来たおばさん達2人が観光客相手の土産物売りのおばさんと話している。
土産物売りのおばさんは、「わたしには子供が2人居て、おまけに上の息子は進学するのにお金がかかる。こうしている今も息子は汗見たらして苦学しているのです。そして今わたしはこうして貝殻のブレスレットなどを売って学費代を稼いでいるのです。そして今あなた達は?遠い国からたくさんのお金とエネルギーを贅沢きわまりなく使い、ここでバカンスを楽しんでいるのですね。さて、そんな私がつくるこの貝殻のブレスレットを買うことを承諾して頂けますね?」といった感じで訴えている。
それを聞いた一人の優しいおばさんは、笑顔でいくつかの物を購入している。
もう一人のおばさんは断固として買わないという態度を示し「NO!!!」と強い調子で言っている。
その断固おばさんと土産物売りのおばさんでやや口論ような雰囲気になった。
大体このようなやり取りである。
「あたいは人や仕事や時間や契約や制度に拘束された奴隷的バビロンシステムから辛うじて数日脱してきたモラトリアム人間なんや。だからやり繰りしたお金でバカンスに来て楽しむ権利はあるし、同情はするけどあなたは私に同情出来ないし、だから買うて買うて言われても必要ないものは買いたくないんや!」という意見に対し、「人でなし!金あるんやろ!買わなきゃあんたの性格最悪や!」
会話もヒートアップして、関西弁も出てきそうなくらい人間味溢れる激情的応酬が繰り返される。
結局分かり合えないままお互いプンプンして別れた。
そのすぐ後、モラトリアムおばさんの携帯にどうやら仕事上のトラブルが発生したらしき電話がかかってきた。
しかめ面でビキニのまま電話口に「あーしろ!こーしろ!こっちは今ベトナム!わたしは今ビキニ!黒い!紐!」と指示及び状況報告をして電話を切ると、「さて、わたしは今モラトリアムなんや!」といわんばかりに急に奇声のような大声で笑い始めた。
きっと我らのような先進国というところで暮らす人間には、時には開放的な別世界で狂ったように笑って保たなければならない精神のバランスというものがあるのだろう。
事の一部始終を、若かりし頃ボブディランに憧れて買ったレイバン・ウェイファーラーのサングラスごしにこっそり見聞きしながら、眠りに落ちた。
 
目を覚ますと、アラサーのバンドメンバーが波の高さに怖気づいて早々に引き返して来ていた。
自然の偉大さに感動し屈服し満足したようであったので、アコースティックからエレクトリックへの変革期に差し掛かった時期のボブディランを意識しつつ、海を切り上げて街へ引き返した。
 
昼は一昨日来たヴィーガンレストランで、ブッダボウル(レタスやトマトやココナッツ、ファラフェル、ライスなどがワンプレートになっており混ぜて食べると美味)を食べる。
ブッダボウルとは有難い名前の食べ物であるが、名称の由来を後日調べてみると、ボウルに盛られた食材やご飯がふっくらとした仏陀のお腹のようだからということらしい。
仏陀のお腹。
ちなみに、テラス席がある庭では鶏が放し飼い(というか開け放たれている鶏小屋から勝手にやってくる)されており、食べこぼして地面に落ちた食べかすを鶏が突っついてお掃除してくれるというハイテクなシステムが導入されていた。
IMG_8543.jpg
「ブッダボウル、仏陀のお腹として見るとややグロテスクに見えてこなくもない」
食後にふらふら街を歩いていると果物売りのおばさんがやってきて、持っていた行商用の天秤をアラサーのバンドメンバーが担がされた。
1mくらいの長い棒の両端に大きなざるがついている。
写真などを撮って興じていると、ビニール袋に何やら赤い果物を入れて渡してきたので、まあここは遊ばせてもらったという事で購入。
スマホで調べるとマンゴスチンという果物であり、とても美味しかった。
IMG_8545.jpg
「ハワイに行くと急にオウムを肩に乗せられ写真を撮られたのち、高額なマネーを請求されるという詐欺が昔あった気がするが、購入したマンゴスチンは相場より高いとはいえ500円くらいだった」
IMG_8548.jpg
「街歩きで見かけた服屋、KFCならぬKJU、当国で売れば銃殺ものである」
 
やがて夜も更けて、いつものにぎやかな街である。
昨日のランタン祭りと今日の朝は、心なしか車やバイクのクラクションが少なかったが、まる一日たった今晩はまたいつもの喧騒である。
祭りの前後は意識的に静かな夜を迎えようという心が地元の人達にあるのだろうか。
何度か来ているレストランでビールを飲み、何度か通っている道を歩いて帰り、ホテルのロビーでタイガービールを買って、部屋で飲んで布団に潜り込んだ。
この街にも大分馴染んできた。
眠りに入りながら、昼間のビーチの出来事を思い出す。
迷いなく笑顔でブレスレットを買ったおばさんは、やっぱり心の迷いがない素敵な人なんだろうなと思ったりした。
IMG_8549.jpg
「河口の夕べ」
6日目終了である。


テーマ:海外旅行 - ジャンル:旅行

旅なんです | 10:11:59 | コメント(0)
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する