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■プロフィール

MAMEFUTATSU

Author:MAMEFUTATSU
TORU(Vocal/Acoustic Guitar)とARISA(Piano,Keyboard/Chorus)による音楽グループ。

2015年7月、結成。
2016年9月、初音源集「SOUNDSCAPE」を発表。
2019年2月、2st「I Will Never Die」を発表。
2022年11月 3rd「Country driver」を発表。
全作品はitunes等各配信サイトより配信中。

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ホイアン紀行文(5日目)
目が覚めると、清掃車が懐かしい雰囲気のメロディーを流しながら前の通りを走っていく。
起き抜けにマイクを持ち出して音を収録。
さて、一仕事終えたら例の如く朝マックならぬ朝バインミーである。

フラフラと20分ほど歩き、お店に到着。
バインミーとフルーツジュースを注文する。
ちなみにバインミーの値段はお店にもよるが、屋台で食べるなら150円ほど、観光客向けのレストランであってもせいぜい400円くらいのもので、リーズナブルである。
この店は小さい鉢に入ったチリソースがついてきて、好きなだけかけることができる。
お店によって辛さの差はあるが、日本人でもそれほど辛くないレベルだ。
毎日食べ歩いたり音を録ってばかりで、観光客らしいスポットに行っていなかったので「今日は一日観光でもしましょうか」ということになった。

IMG-8517.jpg
「食べながら後ろの人のバインミーに目を移す人」

ホイアンには日本人橋という、朱印船で貿易を行っていた日本人が16世紀頃に建設した橋がある。
のちに19世紀初頭に再建されたものが現在残っている橋なのだが、目下工事中である。
数年前に来た時には、さほど大きくはないアーチ状の古風なその姿を見ることができたのだが、行ってみると工事建屋に覆われて外からは見えなくなっている。
残念なその姿を見て諦め、ホイアン市内にある複数の観光スポットのうち、5か所に入れるという観光チケットを街角にあった観光案内所で購入する。
ホイアンの人達は顔立ちが日本人に似ていると言われていたりするそうで、実際に歴史的な交流もあることから、我々に好意的な態度を見せてくれることが多いのだが、この観光案内所の女史は不機嫌で甚だ素っ気ない。
面倒臭そうにこちらに無言でチケットを差し出し、一瞥もくれることは無かった。
「人というものは、その日その時その瞬間で善人にも悪人にもなり得るものである。それはいかに山深き秘境に住む世捨て人のような者おいても例外ではない。いわんやこの女史においてはかくの如し。」と孔子あるいは老子っぽい考えを巡らせ己を納得させ、その場を去った。

IMG-8525.jpg
「チケットと一緒にもらったパンフレット、随所に不思議な日本語がある」

その後、朱印船貿易時代の陶器の博物館や民族資料館などを回った。
とりわけ面白かったのは、100人程度が入れる劇場での音楽と踊りのショーであった。
円形のステージに急勾配の客席がぐるりと囲んでいる。
そこでホイアンの伝統芸能が30分ほど行われたのだが、見慣れない弦楽器を巧みに操る奏者に合わせてコミカルに舞う踊り子が愉快だった。
あとで調べたら見慣れない弦楽器はダン・バウというもので、竹やココナッツの殻に弦を張って出来ているらしい。
ショーに出演しているのは大体20代~30代くらいの若い奏者や踊り子なのだが、最後のほうで大御所らしき70歳前後のおばちゃんが顔におしろいを塗り目元を赤く化粧して、昔の男性の戦士のような出で立ちで剣を構えて登場し、やや鼻にかかった甲高い声でその剣を振り回しながら舞い始めると、客席が明らかに動揺し始めるのが感じられた。
白人が多かったのだが、この杜子春のような人相と世界観を「どう捉えてよいのか分からないヨ!オーマイガー!!」というように、押し殺した笑いが聞こえる。
もしかしたら、ドラッグクイーンやオカマショーのように映っているのではないかと思った。
少なくとも、おばちゃんは女であり男の恰好をしているだけであり、男が女装しているのではない。
我々は大御所のメンツをかけて「そなたと同じく東アジアの民である我々は、そなたの伝統的な舞を風土的、歴史的、スピ系的に魂の奥より非常に理解しており、まったくもって嘲笑などいたしませんぞ」という感じの厳かかつ尊厳のまなざしで最後まで見届け、会場を出た。

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「劇場近くの旧市街の路地裏」

そんなこんなでふらふらしていると、日も落ちてきた。
今日は1か月に一度のランタン祭りの日である。
祭りに合わせてなのか、通りを走るバイクや車も忙しない。
ランタン祭りは、華やかなイメージとは逆で普段きらびやかな電飾を消し、ろうそくやランタンだけで夜を灯すという行事である。
毎日お祭りのようなホイアン旧市街近辺だが、この日はいつもとは違う静けさや落ち着きが町に流れている。
といっても騒がしいミュージックバーなどは相変わらず騒がしくやっているのだが。

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「街路樹に埋め込まれた祠にお供え物とろうそくの灯り」

一度昼間に来たヴィーガンレストランのテラス席でお酒を飲む。
酔いが回ると、何だか日本から何百キロも離れた異国の町に佇んでいることが不思議であり、心地良くなってくる。
周りに日本語を話す人も居ない。
このままずっとここに住んでしまったらどうだろう、というような事を闇雲に想像してみたり。
しかし、旅というものは現実的でない時間を過ごしながら、やっぱり終わりという現実に向かって少しずつ進んでいくものだ。
いつかは帰る。
でもまだその時ではないから、この無責任な心地良さに浸っていようではないか。
それが旅に出た特権である。

最近、思うことがある。
いつかは現実に戻らない旅に出られないかと。
夢心地のまま、戻ってこなくてもいい旅。
心の奥で、もしかしたら誰もが他人に言えないそんな想いを秘めているんじゃないかなと思いながら、帰路に着いた。
5日目、終了。





テーマ:海外旅行 - ジャンル:旅行

旅なんです | 12:35:05 | コメント(0)
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