2021-05-24 Mon
踏切の音、子供の泣き声、車が途切れた静けさ、氷がグラスの中で崩れる音。一つ一つの音が、演奏のそこかしこに散りばめられて、一つの「ライブというものが完成する。
レコード、カセット、CD、MD、MP3、WAV。
それらは記録媒体だから、過去の音だ。
オーディオ機器やパソコン、スマホなどでそれらを再生すれば、機器が置かれた空間の音とは切り離された異なる時間軸の音が鳴っている事になる。
それと比較して、ライブというのは今、その空間の音の中に、新たな音を鳴らすという事だ。
音の性質を定義するとすれば、後者の方が極めて能動的といえるのではないか。
現在という受け皿に過去を鳴らすのか、今という音で現在を構成していくのか。
だから、そのライブを録音して聴いたとしても、「今」聴いた音とは決定的に違うものとなっている。
そして何より、ライブにおける聴き手としての最大の魅力は、もはや聴き手でではなく、その空間を共に構成する音の紡ぎ手になれること。
そこに居る人が作り上げる音のコラージュ。
そんな空間をもっと作っていきたいと、強く感じられる良い時間でした。
ありがとうございました。
