2020-10-13 Tue
台北に行ったのは3年前だ。龍山寺(ロン・シャン・スー)というお寺の近くを定宿に、ここぞとばかりに素食(台湾のベジタリアン食)を食べ歩いた。
旅に出ると思う。
何をするでもなく道の端に座り込んでいる人。
気の無い客引きの声。
マーケットが放つごちゃまぜの匂い。
街に飲み込まれまいとする往来のけばけばしい電飾。
窓から漏れる食器の音。
そんな一切が僕の知らないところで移ろっていて、僕が去った後も勿論、変わらず移ろっていくんだなと。
ただそれだけの当たり前のことが、心揺さぶるほどに感じられるのは何故だろう。
今、僕たちが求めているものがあるとしたら、それは旅かもしれない。