2023-09-14 Thu
まだ熱帯気候に身体が慣れていないのか目覚めが悪く、今日も9時頃に起床。
本日の予定は未定である。
というか、何も決めないでここまでやって来た。
敢えて言うならば、旨いご飯を食べに来たのだ。
という訳で、朝ご飯を食べに行くために旧市街地へ向かう。
歩いているとよく見かける光景だか、商店の軒先に椅子とテーブルが並んでいて、そこに男たちが5、6人でたむろし、何事か話し合っている。
平日の昼間であるが、仕事に行くような気配はない。
また裏路地に入ると窓が開け放たれているので中の様子が良く見えるのだが、リビングらしき床に半裸で寝そべりながらおじさんがスマホをいじっている。
その寝そべり方が、必ず仰向けで手足をだらし無く四方八方伸ばし散らかし(こんな表現ないが、正にそのような感じなのだ)、いかにも退廃的かつ堕落的な事この上なく、目撃するとやや陰鬱になるくらいなのだ。
こう書くと、ベトナム人男性は仕事をしないダメ人間みたいだが、勿論そんな事はなく真面目に働いている人も沢山居る。
旧市街地は日中の時間帯は車両通行止になっており、ブラブラ散策するのに良い。
ホイアンの旧市街地近辺にある建物は濃い黄色で塗られており、独特の風情がある。
ホイアンはベトナム戦争の戦火を免れた街で、古い街並みがそのまま残された稀有な場所である。
目に付いたテラス席のあるいい感じのレストランに入って、トマトベースの米麺とココナッツカレーとバインミーを注文。
1日1バインミーである。
海外に行くと米食から遠のいてしまいがちだが、ベトナムは米や米粉の食事が多く有難い。
今まで知らなかったが、バインミーには米粉が入っており、小麦粉とブレンドすることであのモチモチ&カリカリ感が出るのだそうだ。
たらふく食べて一度ホテルに帰る。
「米麺、色んな料理にバジルとパクチーが大体添えられている」
「本日のバインミー、厚揚げとソイミート、パプリカ」
ベットに寝そべり、裏路地のおじさんに影響を受けた形で退廃的かつ堕落的な格好でダラダラしている時に、ふと「海行こ」という言葉が相方から出て、それに従わない理由もなく外に出てタクシーを拾い、アンバンビーチという所へ向かった。
10分ほどで到着。
ビーチの近くでタクシーを降ろされ視線を上げると、椰子の木(だと思う)が家々の隙間から覆い被さるように道に突き出し、その影がまるで、極細の筆で緻密な模様を地面に描きつけたかのように落ちている。
その地面の先には、青い海が見える。
「うわー、何ていうかここ楽園じゃん。」
などと、またもや情報操作された日本人的楽園的イメージを鵜呑みにした発言を呟き、夢遊病者のごとくフラフラと波の音に導かれるようにビーチの方へ歩いていく。
道を抜けた辺りには、沢山のパラソルと寝そべることができるイスが等間隔に並んでいる。
白人が多く、各々くつろいでいる。
見渡すと白い砂浜が遠くまで続いており、水中にブイか何かで区画された場所で皆んなが泳いでいる。
「よくある全然面白くもない構図で撮ってしまうのも、浮かれ気分である証拠」
ワンオーダーの代わりに、パラソルとイス2脚を使って良いというシステムらしい。
マンゴージュースとココナッツジュースを頼み、早速寝そべる。
ホテルから移動しただけで、寝そべるという行為は変わらないのである。
そんな愚生をよそに、相方はいかにも中国人が着ていそうな真紅と紺色のツートーンの水着になって颯爽と海へ向かう。
密かに心のうちで、ここでもラジオ体操をやるんじゃないかとドキドキしていたが、それは杞憂であった。
気持ち良く昼寝したり、浜辺の音をレコーダーで録りながら海の空気を堪能し、夕方になる前にホテルに戻りシャワーを浴びる。
「ホテルの壁に描かれた絵画の内部に埋め込まれた謎のコンセント、コンセプチュアルアートのようだが狙いが見えない」
少し休憩してから、さて夕飯をどうしようかという段になる。
ここまで来たら、迷うことといえば「我々は何を食べるか?」くらいのもので、ゴーギャンも真っ青である。
しかし、お互いに腹の内は概ね決まっていたよう昨日のレストランへ行こうということで満場一致した。
レストランへ着くと、昨日の純情青少年店長氏がカムバックを喜んでくれた。
昨日とは違う料理を頼んでみる。
揚げ春巻やら、甘辛いタレにナッツがのった餅のようなものやらを注文し、大いに食した。
「餅のようなもの、小皿に一つずつ小分けしてあるのが可愛らしい」
ラルービアとタイガービアの二刀流で程よく酔い、またもや「いや、やはりあの純情青少年はいいね。アナタもそう思わないかね?恐らくアナタのタイプではあるまいか?そうに違いないであろう。ね。」と確信を持ち問いかけると「否。」との答え。
それを聞き、何故か縁談で事が上手く運ばなかった親戚の叔父のような、やや落胆した気持ちに近い状態になりながら、一体それにしても自分が何故叔父的立場に立ち、やや落胆した心境にならなけらばならぬのかと、自分自身でつくった解せない問いを払拭できぬまま、帰路につき3日目が終わった。
(つづく)