2020-02-08 Sat
最近、ゴスペルをよく聞く。「Oh Lord !」という言葉が曲中によく歌われるように、白人の教会音楽と黒人のアフリカンビートが「交配」した宗教音楽、賛美歌だ。
かつて自分たちの祖先を奴隷として異国の地から連れてきて、宗教や人権を奪った人達が信じる神を歌ったという事になるのだろう。
側から見ると、それは一体どういう気持ちなんだろう?と考えてしまうけれど、信じる者にとっては歴史的経緯がどうであろうが、ジーザスはジーザスなのだ。
思いを言霊に変えて、感謝を歌う。
歌うことが祈りそのもの。
ちかごろは「スピリチュアル」という言葉もネガティブなレッテルを貼られて劣勢に立たされているけれど、ゴスペルの元になった黒人霊歌は「ブラック・スピリチュアル」という。
※記事下部の紹介CDのレーベルの一つもSpirit Feel Recordsという名称だ
魂や祈り、畏れ、目には見えない何かの力を信じる事の意義、というか自然さ。
愛という言葉を色眼鏡で見ないで、茶化さないで考えたり、感じたりする事の意義、というか素朴さ。
物事の流れが言葉の本質を変えてしまうことがあるけれど、言葉の本質を省みることによって変わっていく物事の流れがあるはずだ。
スピリチュアル(霊的、宗教的)という言葉の意味と響きに込められたものは、本来もっと敬虔なものであったのではないか。
お箸は食事をする時に使う道具なのか、耳掃除の道具なのかを理解して使うことが大事なのでは。
時代や環境や風潮がその言葉の本来の意味を歪めてしまう時、音的・語彙的感覚に鋭敏な人で或るならば、その言葉の響きと歪められた意味の違いに本能的に違和感を覚えるのかもしれない。
こんな時代だからあえて言いたい。
僕はスピリチュアルでありたいし、そういうふうに断然なりたい。

(左上)SOUL STIRRERS / THE LAST MILE OF THE WAY (SPCD-7052-2)
(左下)MOTHER SMITH AND HER CHILDREN / MOTHER SMITH AND HER CHILDREN (SF1010)
(右上)BLIND BOYS OF MISSISSIPPI / BLIND BOYS OF MISSISSIPPI 1950-1974 (MVCE24153)
(右下)MAHALIA JACKSON / GOSPELS , SPIRITUALS, & HYMNS (SRCS5649-50)