2023-06-22 Thu
先日、3年ぶりに施設に入っている祖母に会いに行った。最後に会った時から更に、認知症が進行していて、僕のことも忘れているかなと思ったけれど、おぼろげに憶えていた。
近い時間の事は忘れてしまいやすいみたいで、数分の間に何度も同じ質問を繰り返す。
それでも、昔の事はかなりよく憶えていて、田舎の竹林の筍がよく取れる場所や、近くの気の利かない人の事などを話す時は、症状があることも忘れてしまうほど明晰だ。
昔から体がしっかりとして、気丈夫で、明るい人だったから、まさかこんなに、小さく丸くなってしまうとは、想像できなかったけれど。
次に会う時は、まだ憶えていてくれるだろうか。
もし憶えていないとしたら、不思議な直感を感じてくれるだろうか。
「元」血縁者として。
せっかちな人だから、きっと輪廻転生を待たずに、今世の記憶を無くして、次の人生の準備を始めたのかも知れないな、とも思う。
「あの世がそこで待っているよ。」
と話の途中に、何度も窓の外を覗くように見ていた。
帰り際、また同じことを言うので、
「あの世でおじいちゃんに逢えるかもね。」
というと、
「会えないよ。」
と照れた様子で答えた顔は、嬉しそうだった。
